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JAY TSUJIMURA and Special Guest
JAY TSUJIMURA & Special Guest!!


JAY TSUJIMURAの対談ページ。お世話になった人、インスピレーションを与えてくれる人、気になる人、地元の人…。JAY TSUJIMURAが色々なゲストと対談していきます。面白い話が聞けるかな?


No.001_NYで活躍する写真家 MARK HIGASHINO (マーク・ヒガシノ)



対談の第一段は、米国 NY(ニューヨーク)で活躍する写真家のマーク・ヒガシノさん。
JAY TSUJIMURAとはNY時代からの友人であり、お世話になっている大先輩でもあります。

Nikon F2 Photomicから始まるカメラ生活


Kei(以下K):MarkさんとJayさんはNYで出会ったの?
Jay(以下J):そうそう、NY。そういえばMarkさんがNYに行ったきっかけってなに?
Mark (以下M):学生の頃に友達3人でLosに行ったのね。それで感激して、住んじまおう!と。
K:ええええええ。。。

M:で、ロスに二ヶ月半くらいいるあいだにドゥービーブラザーズとかいろいろライブ見に行って、音楽ならやっぱりNYだな、と思いなおして。しかも日本に帰ってきたら、ボストンからきたモデルの兄弟に「武蔵美でデザイン学んでてなんでロスなの?イーストコースト行かなきゃダメじゃん」って言われて、それもそうだよなぁと(笑)。それで卒業して3日後にはNYへのチケット持ってた。
J:おおお。早い!

M:NY行ったときは学生上がりで、アマチュアでさ。プロっていうわけでもないし。
J:そこからのし上がったんだ。のし上がったっていう表現もアレだけど(笑)
M:カメラだって、NikonのF2フォトニック1本に、レンズが3つくらい。80-200のズームと、35mm 85mmのレンズだったかな。
J:それだけで(笑)
M:最初はそれだけ(笑)
でもそれから、ファッションフォトとかミュージシャンのポートフォリオってみんなハッセルブラッドとかじゃない?それでハッセル買っておかないとと思って。そこからはずっとハッセルだね。

レストランでバイトすれば食いっぱぐれない


J:この写真からガツっときた!みたいなのってある?
M:初めはモデルも使えないから、レストランでバイトしながらライブハウスに行ってミュージシャン撮ってた。レストランだったら食いっぱぐれないからさ。
J:オレも(笑) レストランでバイトしながらジュエリー作ってた(笑)
M:やっぱりそうだよね(笑) そしたらミュージックライフから電話があってさ、ハートってミュージシャンのコンサート撮って欲しいって。ギャラが500ドルだったの。その時家賃が250ドルだったから、「お!家賃が払える!」って。

J:NY行ってから何年くらい?
M:1年半くらいかな。でもそんなの続かないから、それからカメラマンのインターンを3週間やったんだけど食べて行けなくて、結局辞めてレストランでバイトしながらライブ撮って。
日本から来た「あいみ」さんって写真家さんが、兄貴みたいな人で色々相談乗ってくれてて、日本の○○スタジオ(某有名スタジオ)でスタジオマン募集してるから行ってみたらって紹介してくれた。3ヵ月か4ヵ月くらいってことで日本に帰ってきたの。そしたら時給100円でさ(笑) ここは道場だって言われて、まぁ勉強になるかって開き直って手伝って。色んなカメラマンの撮影を見て、すごくライティングの勉強にはなったね。結局一年弱いたの。その間に神宮とかで作品撮影をやってたら、社長に「バイトの身分で勝手なことしたら若いもんに示しがつかない!」とか言われて。それやるなら辞めてくれって言われて、辞めた。1年いたら退職金が出たんだけど、11ヵ月と半年で(笑)
J:もったいない(笑) 退職金(笑)

人を撮り続ける


J:でも、人物でチャレンジしたマークさんって、凄いですよね。日本人ってブツ取りが多いから。
M:やっぱり洋服が好きだったからね。それでモデルを撮りたくて。当時コンデナスト(ヴォーグ)とかに持って行っても見てくれないしさ。ヴォーグとかハーパースバザーとか。それでも作品撮り続けたけど。日本の学校で習ったデザインのフォトフレームなんて通用しなかったね。

そんなことを続けてたら、Interviewのディレクターが気に入ってくれて音楽系のページを撮らせてくれた。それからポリグラムのクリエイティブと会ってCDのジャケットとかの仕事も来るようになって。音楽関係はそこからだね。
ちょうどその頃にJim Jarmusch(ジム・ジャームッシュ)の映画『Mystery Train(ミステリートレイン)』を手伝って、そしたらその後の『Night on Earth(ナイトオンザプラネット)』の仕事もくれて。それで映画関係もやってたら、ワーナーがのクインシー(Quincy Jones)のドキュメンタリー撮るからスチールやってくれないかって言われて、その時からフランク・シナトラとかバーブラ・ストライサンドとか、エラ・フィッツジェラルドとか撮りはじめたの。そのあたりからブックが広がったかな。
J:それはみんな食いつきますね(笑)
M:そうそう(笑) 

一瞬の表情を掴むための研究


J:Markさんはコミュニケーションとるのも上手いから。表情を出させるのも上手いですよね。
M:いやいや、セレブとか人を撮るときは、世の中に出ている写真を集めて研究するよ。どっち側のフェイスが多いかとか、最初のライティングはそれに合わせて撮るの。それでポラ(ポラロイド)きって見せる。今はデジタルだけど。そうすると、安心してくれるでしょ。嫌いなサイドから撮ったりすると「オレの顔知らねぇな」とかなるし。その最初のカットで安心してもらって、コミュニケーション取って、そこから「ちょっと変えていこうか」って自分流に撮っていくんだよね。

今回ネイマール撮るって時も、ポルトガル語とスペイン語だから、もしかしたら英語できないんじゃないかと思って聞いたら、英語はそこまで得意じゃないっていうから、ポルトガル人の友人に連絡して、「カッコイイ」と「クール」と「ビューティフル」って何ていうんだ!って聞いて。あとは、「左」「右」「真っ直ぐ」とか、必要な単語を全部。バカナ!とかリンド!とかエスケルダとかテンプレとか。出来るだけ気持ちよく撮ってもらえるようにね。
K:そんな下調べするんですね!そんなこと考えなかった。。。
M:ディレクションしないとね。ネイマールのときは30分で7カットかな。タイガーウッズの時なんて、20分で6カットだよ。その時間で思ったとおりのいい写真を撮らないと。

憧れのCarmenについて


J:MarkさんのCarmen(Carmen Dell'Orefice)の写真もいいですよね。僕、Carmen初めて知ったのってMarkさんのところなの。Markさんにコンポジット見せてもらって、綺麗なおねえちゃんがいっぱいいるのに、目にとまったのがCarmen (笑) 自分の作品とるならCarmenしかいない!と思って(笑) 
M:カッコイイよね。彼女撮影のときに、持ってたトレンチコートを、「どうやって着るか知ってる?」ってさらっと羽織って、「こうやって着るとクラシカルに見えるでしょ?」とか、色々合わせ方を教えてもらった。

その後、写真集撮るのに来てくれたときも、「今日はゴージャスな雰囲気で撮りたい」って言ったら、「Mark、私忘れ物してきちゃった。家に帰らなきゃいけないかも。」って。で焦ったら、ニコニコってして、「ゴージャスを引き出しに忘れてきちゃったかもしれないわ」。それでもう「ドキーン」って(笑)
K:チャーミングすぎる。。。

J:1947年ですよね、あの水たまりを飛んでる写真。60年前くらい?彼女凄いですよ。
M:食事した後にタクシーでも拾おうか?って言ったら、「いい夜だから何ブロックか歩いて帰るわ」って。ああ、お洒落だなぁと本当に思ったよ。
K:ロマンティック。。。(惚れ惚れ)
M:そういうロマンティクさとかエモーションとか、ちょっとしたユーモアも素晴らしいよ。
J:世界最年長のモデルですもんね。

K:あれ?Markさん何年生まれですか?
M:俺?1955年生まれ。
J:じゃあ僕より10歳上か。10歳上でそれって、若いよね。。。
M:いやぁ、ハーフセンチュリーを超えると身体にくるよ(笑)
K:ハーフセンチュリーって(笑)

指輪の革の張り替えも終わったところで。

J:Markさん、お忙しいところありがとうございました!


MARK HIGASHINO(マーク・ヒガシノ): フォトグラファー


略歴
1979年 20代で単身アメリカへ渡る。
1984年 CFプロダクションでコーディネーターとして活動。
1987年 NYにスタジオを開設。ポートレートを中心に音楽・映画界で活躍する。
代表作として、チック・コリア, イギー・ポップ、マイケル・モンローをはじめ、日本では永瀬正敏、中山美穂、久保田利伸、Dreams Come True などなど、数多くのアーティストを撮影。
クインシー・ジョーンズ の "Listen Up" のプロジェクトでチーフ・フォトグラファーとして起用され、エラ・フィッツジェラルド、フランク・シナトラ、バーバラ・ストライザンド などの超大物アーティストを世界中で撮影。世界最年長の現役ファッションモデル Carmen Dell'Orefice、また60年代のスーパーモデル・ツイッギーからも高い評価と支持を受けています
映画のポスター・スチール撮影にも関わり、岩井俊二監督の『LOVE LETTER』でポスター撮影を、ジム・ジャームッシュ監督の『Mystery Train(ミステリー・トレイン)』ではスチール写真、『NIGHT ON EARTH(ナイトオンアース)』ではポスター撮影を手がけています。


URL:http://www.markhigashino.com



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